当館について

館長あいさつ

 国文学研究資料館は昭和47(1972)年、我が国初の文系大学共同利用機関として品川区戸越に創設されました。戸越から立川への移転後8年を経て、新天地での事業・研究体制も軌道に乗り、創設以来継続してきた調査・収集事業、また充実した設備を生かした展示に加え、人文系初の大規模学術フロンティア促進事業「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」を滞りなく実施・遂行しています。

 「グローバル」ということが盛んに唱えられる昨今、日本文学研究においても「国際共同研究」は多くの大学、研究機関で行われていますが、その実情は、日本語能力の優れた外国人研究者との交流と日本語を解する海外研究者グループへの情報発信にとどまっています。

 しかし、私たちがフランス語もドイツ語もロシア語も読めないままに、バルザックやゲーテやドストエフスキーに親しんできたように、海外には日本語を読めない日本文学愛好家も決して少なくはありません。そのような人々にも、私たちの研究成果を届けることこそが、本当の「グローバル化」ではないでしょうか。

 そのような思いから、国文学研究資料館では従来の対外的な国際交流に加えて、内なる国際共同を実現するために、優秀な若手外国人教員の採用に踏み切り、2年後に開始予定の国際日本文学研究のオンライン・ジャーナルの発信と国際共同研究の強化をめざして、米国とフランスから助教と准教授を迎えたところです。

 一方、館創設以来の国文学資料の調査・マイクロフィルム収集事業は、全国各地の調査員の協力を得てすでに20万点を超え、100年、200年後までの保存体制を確立していますが、その調査・収集の過程で少なからぬ所蔵者の方々から国文学資料の保管と研究利用の実績が評価され、貴重な所蔵典籍の寄贈が相次いでいます。これまでに、高名な国語国文学研究者、橋本進吉、久松潜一、福井久蔵、西下経一、長谷章久、後藤重郎、高乗勲諸氏の蒐集典籍を初めとして、田安徳川家の田藩文庫、山鹿積徳堂文庫、鵜飼文庫等の大型コレクションの寄贈を受け、マイクロフィルムだけでなく原本の館蔵書も着々と充実しています。それらに加え、このたび新たに『伊勢物語』の世界最大のコレクション「鉄心斎文庫」の『伊勢物語』伝本、注釈書、カルタ、屏風等の関連資料1000余点を、鉄心斎文庫伊勢物語文華館の館長芦澤美佐子氏よりご寄贈いただきました。

 館では早速その目録作成をめざした共同研究を発足させ、併せて来年度には「鉄心斎文庫伊勢物語展」を開催すべく、準備に取りかかっています。

 本年度より、国立大学法人ならびに大学共同利用機関法人は、第3期の中期目標・中期計画に向けての活動が始まります。国文学研究資料館は、大規模学術フロンティア促進事業「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」を中心に、これまでの実績を活かしつつ、大学共同利用機関としての使命をはたしていく所存です。

 (写真協力/有限会社えくてびあん)

館長 今西 祐一郎

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